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会員紹介

会員紹介 H.T.

 今回の会員紹介はH.T.さん(本人希望により匿名)。太氣拳歴7年と、太氣会中堅ポジションの会員で、居合・剣術出身という異色の経歴です。
 組手では格上クラスをくるんと回して捉えてしまうこともあり、粘り強い堅実な戦い方ができる方です。
 聞き手は個人的にこのTさんに練習相手をして頂く機会が多いのですが、この人の良いところは、格闘技系出身ではないためか、稽古の本道のようなものをよくわきまえていることです。目先の当たった当たらないのようなことに振り回されず、無駄に人を傷つけず綺麗な動きができるため、見ていても気持ちが良いし、一緒に練習していて安全に実のある稽古ができるのです。ただの潰し合いでは明日につながらないでしょう。
 また人柄的にも常識人で、己をわきまえて相手に入り過ぎることもなく、安心感をもって接することのできる人です。

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会員一問一答

――太気拳修行歴(年数)
 7年
――太気拳以前の武術・格闘技やその他のスポーツ歴
 居合・剣術
――太気拳を始めようと思ったきっかけ
 居合・剣術で役立つことがありそうだったので
――太氣会を選んだ理由
 秘伝を読んでいて先生の記事が掲載されていたため
――太気拳を始めるにあたって迷ったり躊躇したりしましたか。その時の心境等を教えて下さい
 していない
――稽古に参加して最初に印象に残ったことはなんでしょうか
 先生の動きが速かった
――稽古で今までで記憶に残っていること、印象的なこと、面白かったこと等を教えて下さい
 初めて組手をした時、どうしたらいいかわからなかったこと
――稽古を通じ、以前と変わったと思うのはどんなところでしょうか。逆に変わらないところもあれば教えて下さい
 ケツがでかくなった
――太気拳を始めて良かったと思うのはどんな時ですか
 嫌な気分の時でも稽古をすると忘れられる
――稽古の中で、今課題としているのはどんなことでしょうか
 発力
――今はどんな気持ちで練習に向かい合っていますか。またどんな自分になりたいですか
 直近の課題をクリアしたい
――武術以外の楽しみがあれば教えて下さい
 飲み食い
――これから太気拳を始める人、入会を迷っている方などに一言あればお願いします
 自分の中の小さな変化を楽しめる人であればハマると思います

ショートインタビュー

――居合や剣術の出身ということで、太氣会の中でも異色の経歴ですが、戸惑いなどはありませんでしたか

居合とかだと道場稽古で、師範とかがいて、挨拶して一斉に始めるじゃないですか。師範の言う通りに素振りや型を始めたり。太氣だと挨拶もなく、おもむろにみんな勝手に禅を組んでいたりするじゃないですか。それが日本の武道の道場稽古とまったく違うので戸惑いましたね。

――組手に関してはどうでしたか

型の世界って仮想敵というのがあって、それに対して行う、というのがあるんですけど、実際に人がいたときに人間がそんな型のように動けるものなのか、という疑問があったんですよね。(太氣会での組手は)最初にやったのが四ヶ月目くらいで、突然指名されたんですけど、実際に組手をすると何をしたら良いのかわからない状態で。型の世界と違って逆に色々やれるはずなのに、どうしたらいいんだろう、となりました。組手の内容は覚えていないですが、この戸惑いだけは覚えています。フリーすぎてなにしたらいいかわからないというか。
やっぱりそういうメンタルな面、それも気合とかそういう意味じゃなくて、心の置き所みたいのを研究していかなければ実際には使えないと思います。

――そういう武術系出身の会員ももっと増えたらいいと思うのですが、そういう方に何かアピールがあれば

居合とか剣術とかだと、サークルっぽくやりたい人と、探求したい人がいて、探求したいタイプの人は、身体の使い方とかそういう本を読みだしたりするんですよね。そういう一貫で自分も最初に太氣会のセミナーに来たんですけど。居合や剣術の役に立てればいいな、と思って。仕事の関係などで居合の方は足が遠のいてしまっているんですが、太氣拳をやってから居合などに立ち返ってみると、随分変わった感じになってるんじゃないかな、と楽しみにしています。

――そういう意識の方が、社会生活にも活きる面があるように思います

自分も普通のサラリーマンなんですけど、仕事していてイヤなこととか沢山あると思うんですよ。そういう時、帰りがけに五分でもいいから禅を組んだりすると、ちょっと楽になったりして、そういう面だけでもやる価値はあると思いますよ。

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会員・会友員のテクスト 会員紹介

会員紹介 宮島志問

 今回の会員紹介は、宮島志問先輩です。
 この宮島先輩をおいて太氣会を語ることはできないでしょう。
 天才肌でマイペース。超人的な技量を持ちながら人柄は朗らかで偉ぶるところがなく、どこか素朴な子供のようなところもあり、どんな高いお酒もコーラで割ってしまう可愛らしい人です。
 立禅や這などの太氣拳の稽古は一見非常に地味で、「こんなことをやって強くなれるのか」と思われる方は沢山いらっしゃるでしょう。その中で、宮島先輩の常識では考えられないような動きを見て、心の支えにしている会員もいらっしゃるのではないでしょうか。
 聞き手は別のある先輩と話していて、「宮島さんのようになれないといけないんですよ、あれができなくちゃ意味がないんです!」と力説されたことがあります。
 ゆっくり動いているのに速く、フットワークがあるわけでもないのに文字通り相手をクルンと回してしまい、いつの間にか背後をとっている。ビデオでスローモーションで見ても何をやっているのかよく分からない。まるで子猫が毛玉で遊んでいるようです。
 ちなみに、上の某先輩は「ああいう風になったら組手も楽しいでしょうね」とおっしゃっていました。
 傍で見ていてもよく分からないのですが、やられてみるともっと分かりません。新しい会員の方が宮島先輩にコロコロ転がされてくれると、「あのわけのわからない感じを共有できた」ことが嬉しくなるくらいです。
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会員一問一答

――太気拳修行歴(年数)
 21年
――太気拳以前の武術・格闘技やその他のスポーツ歴
 十代にサッカー、二十代は空手をやっていました
――太気拳を始めようと思ったきっかけ
 太氣拳は、空手を習っていた先で知りました
 数年後、引っ越した先で当会を知り、入門しました
――太氣会を選んだ理由
 体力に限界を感じ始めた頃、澤井先生の書物を読み、年をとって老いても残るものがあると思い
――太気拳を始めるにあたって迷ったり躊躇したりしましたか。その時の心境等を教えて下さい
 今までやって来たこととは全くの別物として捉えていたので、迷いはありませんでした
――稽古に参加して最初に印象に残ったことはなんでしょうか
 始めの止まって行う立禅と、稽古の最後の組手のギャップ
 静と動の両極端が最初の印象です。
――稽古で今までで記憶に残っていること、印象的なこと、面白かったこと等を教えて下さい
 一番面白く印象に残っているのは、稽古後の先生の生前の澤井先生の話や、組手や稽古のワンポイントの実演
――稽古を通じ、以前と変わったと思うのはどんなところでしょうか。逆に変わらないところもあれば教えて下さい
 変わったことは、老後への希望。老いても成長できると思っています
 太氣拳を始めていなければ、三十代で武術・格闘技は見る側にまわって終わっていたと思います
 変わらないのは性格です。性格は変わりませんね
――稽古の中で、今課題としているのはどんなことでしょうか
 今できていることを整理し、はっきりさせてまとめること
――今はどんな気持ちで練習に向かい合っていますか。またどんな自分になりたいですか
 あまり考えずに稽古してきたので、整理してまとめることをしています
 怪異な老人(になりたい)
――武術以外の楽しみがあれば教えて下さい
 旅行と晩酌
――これから太気拳を始める人、入会を迷っている方などに一言あればお願いします
 武術なら技や技術、型などの練習に重点を置きますが、太氣拳で最初に学ぶのは立禅。わたしは入門して二十年経ちますが、一年、十年経ても、二十年の今も変わらずに立っています
 立禅で技や華やかな形などは身につきません。立禅で何を得るのか? 二十年前と今の立禅の外見はそんなに変わりありません。違うのは感覚。
 感覚が芽生え、立つ日々に新たな拡がりが生まれてくる感じがあります
 感覚が違えば反応が変わり、反応が違えば技や運動神経を超える能力になると信じています

ショートインタビュー

――宮島さんは長く太氣拳をやっていらっしゃるのですが、どこかの時点でガラッと変わったみたいな経験はありますか? 宮島さんはとても個性的な印象がありますが、宮島さんはいつ「宮島さん」になったのでしょうか?

 何かのきっかけでボンッと上がる時というのはあるんだけれど、それも少し経つと普通になっちゃうんだよね。当たり前になって。何かきっかけがあるのかな。でも積み重ねがないと、そのきっかけがあっても見えない。

――宮島さんが教えていくとすると、どういうアプローチをされていきますか

 どう言ったらその人がわかるかなぁ、というのを考えて言うけれど、その人の下地ができてないと言ってもわからない。
 俺はずっと何も言わなかったんだよな。でもある時質問してきた人に「こうやったらいいんじゃないかなぁ」みたいなことを言ったら、「じゃぁこれはどうなんですか」と聞かれて。それに答えられなくて、「一週間くらい時間下さい」て言って考えたんだよ。その時に、自分が今までなにもまとめないでやってきたことに気づいて、そういうのをまとめることで次のステップに行けるんじゃないかな、と思ったんだよ。まとめるってのも大切で、今はそれを考えてる。

――宮島さんは一時的に太氣会を離れたり、色々な経験があったと伺っていますが。

 今の先生の教え方は、止まっている練習と組手をつなげる説明をちゃんとしてるんだけど、俺が入った頃はまったくつながりがなかったんだよ。わかんなかったんだよ。だから続く人というのは、本当に根気のある人か、何か気みたいのが舞い降りてくると信じてやってる人か、二種類しかいなかったんだよ。俺なんかどっちもなかったから、しょっちゅう休会してた。
 でもしばらく遠ざかってると、自分の中に普通の人に感じられないものがあって、続けていけば残っていくものがあるかなぁ、と思って戻ってきたんだよね。

――言葉にしにくいものなので、コミュニケーションが難しいですね。

 同じレベルの人じゃないと、言葉にしてもわからないんだよ。下の人だとわからない。
 でもやっていけば先生に近づけるんじゃないかな、と思ってやってるよ。

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会員紹介

会員紹介 T.T.

 今回ご紹介させて頂くT先輩は太氣拳歴十年であると同時に、某フルコンタクト空手の指導者でもあります。仕事、空手、太氣拳と非常に多忙な生活を送っておられるはずで、一体いつ寝ているのか不思議なほどです。
 寡黙で真面目、実力者であるにも関わらず決して出過ぎることなく、愚痴どころかネガティヴなことを口にしたり、人についてあれこれ言及するのも見たことがない、人間的に非常に尊敬できる方です。
 その推手や組手は質実剛健、間違っても一発を狙うことなく、ひたすら「状態を守る」ことを貫き、徹底的な粘り腰で詰将棋のように相手を追い詰めていきます。T先輩と推手をしていると、こちらが攻めた筈なのに、まったく打つ様子もなく先輩の手が顔の前に自動的に来ている、ということをしばしば経験させられます。
 また聞き手は組手でお相手頂き、するすると切れ目なく間合いを詰められ、何もできないまま上から空き缶をペシャンと潰すように転がされたことがあり、まるで魔法のように感じました。
(本人希望により匿名でご紹介させて頂きます)

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会員一問一答

――太気拳を初めてどのくらいになりますか。また、その前にやっていた運動あるいは武術がありますか。
 太気を初めて10年になります。以前より空手をやっております。
――何故始めようと思ったんでしょうか、またきっかけは何ですか。
 もともと興味がありましたし、空手の先輩が会友員だったので紹介してもらいました。
――その時に迷ったり、躊躇したりしましたか。
 まったくありません。
――稽古に参加して最初に印象に残ったことはなんでしょうか。またなぜ印象に残ったのでしょうか。
 立禅がこんなにきついとは思いませんでした。
 立禅の真似事はしていましたが、せいぜい15分位程度でしたが、初めて基礎講座に参加させていただいて、一日中、立禅をしていたので。
――今までで記憶に残っていることはどんな事でしょうか。また一番印象的な出来事、面白かった事は?
 初めての組手で会員№○○先輩の洗礼を受けた事。
 今は退会してしまったKさんと、よく玉縄の稽古で真冬にも関わらず、大汗をかきながらずっと練りをやっていたこと。終盤は稽古の目的からだいぶずれて、お互いに相手が歩を止めるまでと勝負ごとになっていた。
――楽しいと思うときはどんな時でしょうか。
 稽古で新しい発見(体の変化)があったとき。
――以前と変わったと思うのはどんな時ですか。逆に変わらないな、と思うのはどんな時ですか。
 人の対人練習を見ていて以前の自分と変わった視点から見れるようになった。
 兄弟弟子の皆さんの技術が、日進月歩なのに自分はあまり進歩していない気がする自分の思考が変わっていない。                
――始める前と後で何か違った事がありますか。始めて良かったと思うのはどんな時ですか。
 稽古に対する考え方、取り組み方が、違ってきました。
 先生、兄弟弟子の皆さんと武術の話ができる時
――今課題と思ってるのはどんな事ですか。
 稽古で形に囚われてしまうので、囚われ無いようにする。
――今はどんな気持ちで練習に向かい合っていますか。どんな自分になりたいですか。
 今の自分のレベルで、一挙一動、丁寧に注意深く雑にならぬよう心がけています。
 10年、20年後も、ずっと太気と向かい合っている自分で在りたい。
――武術以外の楽しみはどんなものですか。
 バイクでツーリング。

ショートインタビュー

――T先輩は仕事、空手、太氣拳と、大変多忙でいらっしゃるかと思います。それらの間でのバランスや関係などをどう図っていらっしゃるのでしょうか。
 まず、仕事と武道というのはまったく別ですよね。
 空手と太氣拳は、最初は空手は空手、太氣拳は太氣拳、と分けて考えていました。でもそうすると、自分の身体の中に矛盾が出てくるんです。今は自分の中では、二つの区別はありません。
――体験を通じて、空手も変わったのでしょうか。
 質が変わったと思います。
――T先輩は空手指導者としても活躍されているわけですが、太氣拳を教えるとしたら、どのように教えられますか。
 自分は本当にセンスの欠片もない人間で、それが曲がりなりにも人前に出して恥ずかしくない程度には成長できたと思うので、そういう視点から教えられることはあると思います。
 身体の使い方や姿勢など、まったく理解していませんでしたから、間違っていた、ということを知っているんです。そういうアプローチはできると思います。
――太氣の稽古をしていると、直近で悩んだり気になっていることがあっても、教わることもできないし質問することすらできない、ということがあります。コミュニケーションをとるのがとても難しいと思うのですが。
 質問されてもなかなか答えられないですよね。
 でも姿勢などで教えられることもありますから、そこから何かを感じ取ってもらえればいいかと。
――T先輩は個人的に特別にすごいな、と思っており、人間的にも一番尊敬できるのですが、その粘り強さはどのように養われたのでしょうか。
 自分は稽古に対する姿勢はすごくねちっこいんですよ。それは核の部分で自分がすごく弱く、臆病だからです。人一倍強くなりたいんです。単に組手とかいうことではなく。
 切り捨てて切り捨てていこうとするんですが、天野先生に指摘されて、全然できていないことを気づくことがあります。
――それは精神的なもの? 無駄な力を使わないということですか?
 無駄なことをしない、そぎ落としていく、ということですが、精神的にもネガティヴなものを切り捨てていこうとしています。心の中にはドロドロのものがあるんですよ。
 そういう自分の弱さと決別することです。

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会員・会友員のテクスト 会員紹介

会員紹介 浅野一

 会員紹介の記念すべき第一回は、太氣会最古参の浅野一先輩です。
 天野先生とは横浜太氣拳研究会からの長いお付き合いです。
 面倒見の良い「昭和の兄貴」といったキャラクターで、真面目で稽古熱心なことでは右に出る者がなく、小柄ながら接近戦も中間距離もこなせるファイターです。
 聞き手の個人的な思い出としては、身長差20センチ以上、体重差で30キロはある筈の先輩(この人も十年以上のキャリアがあり、その前も格闘技経験者です)を軽く手玉に取り地面に組み伏せてしまったことがあります。

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会員一問一答

――太気拳修行歴(年数)
 24年
――太気拳以前の武術・格闘技やその他のスポーツ歴
 ボクシング・徒手格闘技・グローブ空手
――太気拳を始めようと思ったきっかけ
 競技者としての自分の先が見えてしまった1991年、当時の練習仲間から立禅を紹介されて、半信半疑で組んでいたら攻撃力と反射速度が上がったのを自覚して、これは何だろうと
――太氣会を選んだ理由
 練習仲間が太氣会の前身にあたる横浜太氣拳研究会の会員だったので、その縁で
――太気拳を始めるにあたって迷ったり躊躇したりしましたか。その時の心境等を教えて下さい
 素面素手の組手をやっていることを聞いていたので、どうなるのかと緊張していた
――稽古に参加して最初に印象に残ったことはなんでしょうか
 立禅に代表される外から見て動かない稽古と激しい組手とのギャップ
――稽古で今までで記憶に残っていること、印象的なこと、面白かったこと等を教えて下さい
 それまで自分がこうであるに違いないと思い込んできたことや何の疑問も感じないままでやってきたことが間違いだったと分かることが楽しい
――稽古を通じ、以前と変わったと思うのはどんなところでしょうか。逆に変わらないところもあれば教えて下さい
 生きていく上で物事を本質的に捉えようとする意識を持てるようになったが臆病なところは変わらない
――太気拳を始めて良かったと思うのはどんな時ですか
 人生が豊かになった
――稽古の中で、今課題としているのはどんなことでしょうか
 頭で考えず身体で感じる
――今はどんな気持ちで練習に向かい合っていますか。またどんな自分になりたいですか
 なっていないことばかりなのでなれるようになりたい
――武術以外の楽しみがあれば教えて下さい
 タイ語学習
――これから太気拳を始める人、入会を迷っている方などに一言あればお願いします
 やらずに後悔するよりやって後悔

ショートインタビュー

――太氣会最古参の浅野さんということで、昔の太氣会、太氣会になる以前の横浜太氣拳研究会時代のことについてお伺いしてみたいです。当時はどういった雰囲気だったのでしょうか。
 殺伐としていたね。入門してくるのは何かの格闘技の経験者ばかりなんだけど、一通り立禅のやり方とかを教えて、それから組手になる。すぐに顔に痣作って。その後「○○さん」とか紹介されるんだけれど、もう次から来ない、というようなことがよくあった。平気で拳入れてくる先輩とかもいたし。
 当時は神宮の先輩たち、天野先生のお兄さんや久保先生、斎藤昭先生、天野先生の空手つながりの古川先生などが一緒にやっていた。
 立禅や這などの静かな稽古の後、いきなり組手になって、そのギャップがストレスになっていた。つながらないし、分からないから。
 自分は元々グローブでやっていたので、素手素面の組手とはどういうことになるんだろう、と思っていた。拳で殴られるわけだから。
 (註:現在の太氣会では入門していきなり組手をさせる、ということはありません。また組手はお互いコントロールしたやり方でやっており、最近では頻繁に組手が行われているわけでもありません)
――当時と今、どちらの太氣会の方が良いと思いますか。
 今の方がいいね。普通の人が強くなって組手ができるようになる、というのはすごいことだよ。
――浅野さんが今後指導する立場になるとしたら、どういう教え方をしていきたいですか。
 教えるなんてことはできないよ。そんなおこがましいことはできない。
 天野先生を見ているから。どれだけ厳しいことなのか見ているからね。そんな大それたことはできないよ。