今回は意拳の扶按球試力からの変化を前方発勁を含めて動画にしました。澤井先生は組手の指導の際、相手の腕を下から跳ね上げる動きを教えてくれましたが、この動きの原型がこの試力であり、伝説となっている郭雲深師の「崩拳」でもあります。
「試力」は太気拳では「練り」と言われる稽古です。試力の意味は言葉通り「力を試す」。では一体どんな力なのか、澤井先生の兄弟子姚宗勲師の言葉を借りてみましょう。
「 拳術で求める力量は、日常生活や仕事で慣れている、力を用いる方式や力を用いる方式(例えば重い物を運ぶ、車を引く)とは異なっており、特殊な意義内容を持っている。一般に、自分が元々持っている力を「本力」といい、拳術の訓練を通して獲得する力を「功力」という。拳術に用いる特有力である。」
つまり拳術特有の力を試すのが試力・練りであり、その実効が発力・発勁となります。ですから試力の目的は明瞭で、定型に於いての発力・発勁の練習です。対人での発力・発勁は文字通り「特有力の力試し」。ですからこれが初期の達成目標となります。「本力」に頼るのではなく、「功力」こそが求めるべきものです。その意味で前回の「揺りからの発勁」同様稽古の参考にしてください。