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会員・会友員のテクスト 会員紹介

会員紹介 宮島志問

 今回の会員紹介は、宮島志問先輩です。
 この宮島先輩をおいて太氣会を語ることはできないでしょう。
 天才肌でマイペース。超人的な技量を持ちながら人柄は朗らかで偉ぶるところがなく、どこか素朴な子供のようなところもあり、どんな高いお酒もコーラで割ってしまう可愛らしい人です。
 立禅や這などの太氣拳の稽古は一見非常に地味で、「こんなことをやって強くなれるのか」と思われる方は沢山いらっしゃるでしょう。その中で、宮島先輩の常識では考えられないような動きを見て、心の支えにしている会員もいらっしゃるのではないでしょうか。
 聞き手は別のある先輩と話していて、「宮島さんのようになれないといけないんですよ、あれができなくちゃ意味がないんです!」と力説されたことがあります。
 ゆっくり動いているのに速く、フットワークがあるわけでもないのに文字通り相手をクルンと回してしまい、いつの間にか背後をとっている。ビデオでスローモーションで見ても何をやっているのかよく分からない。まるで子猫が毛玉で遊んでいるようです。
 ちなみに、上の某先輩は「ああいう風になったら組手も楽しいでしょうね」とおっしゃっていました。
 傍で見ていてもよく分からないのですが、やられてみるともっと分かりません。新しい会員の方が宮島先輩にコロコロ転がされてくれると、「あのわけのわからない感じを共有できた」ことが嬉しくなるくらいです。
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会員一問一答

――太気拳修行歴(年数)
 21年
――太気拳以前の武術・格闘技やその他のスポーツ歴
 十代にサッカー、二十代は空手をやっていました
――太気拳を始めようと思ったきっかけ
 太氣拳は、空手を習っていた先で知りました
 数年後、引っ越した先で当会を知り、入門しました
――太氣会を選んだ理由
 体力に限界を感じ始めた頃、澤井先生の書物を読み、年をとって老いても残るものがあると思い
――太気拳を始めるにあたって迷ったり躊躇したりしましたか。その時の心境等を教えて下さい
 今までやって来たこととは全くの別物として捉えていたので、迷いはありませんでした
――稽古に参加して最初に印象に残ったことはなんでしょうか
 始めの止まって行う立禅と、稽古の最後の組手のギャップ
 静と動の両極端が最初の印象です。
――稽古で今までで記憶に残っていること、印象的なこと、面白かったこと等を教えて下さい
 一番面白く印象に残っているのは、稽古後の先生の生前の澤井先生の話や、組手や稽古のワンポイントの実演
――稽古を通じ、以前と変わったと思うのはどんなところでしょうか。逆に変わらないところもあれば教えて下さい
 変わったことは、老後への希望。老いても成長できると思っています
 太氣拳を始めていなければ、三十代で武術・格闘技は見る側にまわって終わっていたと思います
 変わらないのは性格です。性格は変わりませんね
――稽古の中で、今課題としているのはどんなことでしょうか
 今できていることを整理し、はっきりさせてまとめること
――今はどんな気持ちで練習に向かい合っていますか。またどんな自分になりたいですか
 あまり考えずに稽古してきたので、整理してまとめることをしています
 怪異な老人(になりたい)
――武術以外の楽しみがあれば教えて下さい
 旅行と晩酌
――これから太気拳を始める人、入会を迷っている方などに一言あればお願いします
 武術なら技や技術、型などの練習に重点を置きますが、太氣拳で最初に学ぶのは立禅。わたしは入門して二十年経ちますが、一年、十年経ても、二十年の今も変わらずに立っています
 立禅で技や華やかな形などは身につきません。立禅で何を得るのか? 二十年前と今の立禅の外見はそんなに変わりありません。違うのは感覚。
 感覚が芽生え、立つ日々に新たな拡がりが生まれてくる感じがあります
 感覚が違えば反応が変わり、反応が違えば技や運動神経を超える能力になると信じています

ショートインタビュー

――宮島さんは長く太氣拳をやっていらっしゃるのですが、どこかの時点でガラッと変わったみたいな経験はありますか? 宮島さんはとても個性的な印象がありますが、宮島さんはいつ「宮島さん」になったのでしょうか?

 何かのきっかけでボンッと上がる時というのはあるんだけれど、それも少し経つと普通になっちゃうんだよね。当たり前になって。何かきっかけがあるのかな。でも積み重ねがないと、そのきっかけがあっても見えない。

――宮島さんが教えていくとすると、どういうアプローチをされていきますか

 どう言ったらその人がわかるかなぁ、というのを考えて言うけれど、その人の下地ができてないと言ってもわからない。
 俺はずっと何も言わなかったんだよな。でもある時質問してきた人に「こうやったらいいんじゃないかなぁ」みたいなことを言ったら、「じゃぁこれはどうなんですか」と聞かれて。それに答えられなくて、「一週間くらい時間下さい」て言って考えたんだよ。その時に、自分が今までなにもまとめないでやってきたことに気づいて、そういうのをまとめることで次のステップに行けるんじゃないかな、と思ったんだよ。まとめるってのも大切で、今はそれを考えてる。

――宮島さんは一時的に太氣会を離れたり、色々な経験があったと伺っていますが。

 今の先生の教え方は、止まっている練習と組手をつなげる説明をちゃんとしてるんだけど、俺が入った頃はまったくつながりがなかったんだよ。わかんなかったんだよ。だから続く人というのは、本当に根気のある人か、何か気みたいのが舞い降りてくると信じてやってる人か、二種類しかいなかったんだよ。俺なんかどっちもなかったから、しょっちゅう休会してた。
 でもしばらく遠ざかってると、自分の中に普通の人に感じられないものがあって、続けていけば残っていくものがあるかなぁ、と思って戻ってきたんだよね。

――言葉にしにくいものなので、コミュニケーションが難しいですね。

 同じレベルの人じゃないと、言葉にしてもわからないんだよ。下の人だとわからない。
 でもやっていけば先生に近づけるんじゃないかな、と思ってやってるよ。