カテゴリー
天野敏のテクスト 閑話休題

子育て

40日間というのが長いのか短いのかは判らない。40日間どうしていたかと言うと、娘と口をきかなかった。 いやきかなかったのではなく、口をきいてもらえなかった。理由は勿論親子喧嘩。

夜出かけるというので、こんな時間に外出なんて、と中三の娘と口論。思わず手が出た(ご心配なく、勿論あて止め)。 次の日から朝起きて、「おはよう」の返事がない。「いってきます」「ただいま」もない(連れ合いや兄弟には普通にしているが)。 それが40日間というのは結構きつい。家族の中で口をきかない人間がいるというのは結構なプレッシャー。結構気詰まりなものだ 。まあ、娘がこんなに頑固・強情だとは知らなかった。表面は知らん顔をしているが、なかなかどうしてしんどい。 冷戦の終結は、何の事はない、お小遣い。修学旅行に持っていくお小遣いと、自由行動の際の私服のおねだり。 さすがに娘も色々計算したと見えて、和解が成立。しっかりとお土産に「生八橋」を買ってきた。 一件落着だが、これから先が思いやられる。

しかし、稽古で「思ったときには手が出るように」と指導しているが、まさかそれがこんなところで出るとは、 これを稽古の成果と見るかどうか。考えてみれば、思わず手が出て、と言うのは十数年ぶり。以前ある夏のこと 、身重の連れ合いと夜の公園を散歩。ちょうど夏休みで近所の中高生が10人ほどたむろして花火をやっている。 その打ち上げ花火を彼らが横に向けて発射。それが目の前に飛んできてカッとなった。そこまでは記憶にあって 、次に気がつくと、既に数人の高校生に対して手を上げていて、そこで我に返った。それほどカッと来る性格だとも思わないが、 どうも事が家族と関わるとそうでもないらしい。子育てと言うのは、弟子を育てるより厄介なことなのかもしれない。