最近はあまり映画館で映画を見ない。せいぜい娘にせがまれて連れて行くくらい。それよりもレンタル でDVDなどを借りてきて一人で見ることが多い。 それも新しいものは特に見たいと思わない。昔見てもう一度見たいと思うものを借りてくる。何時頃の ものかと言うと60年や70年代のものがほとんど。 人間歳は取りたくないものである、ひょっとするともう懐古趣味に陥っているのかもしれない。しかし 、無理に新しいものを見ることもないと思っている。 そうして借りているうちに中には買っていつでも見たいと思うものがいくつか出てくる。借りていると、 何時までに返さなくては、と言う思いが先にたって、無理見していると思うときがあるからである。 で、ここの所幾つかのDVDを買った。最初に買ったのが「第三の男」なんと5百円。内容はいまさら言うまでもない。 この映画について話し始めれば止まらない、と言う友人が何人もいる。映像的にも、内容的にも、そし て音楽的にも、ついでに勿論俳優についてもついついマニアックになる映画。 もう一つおまけに作家論にも発展するので、小説であること忘れる訳にはいかない。著作権の問題かわか らないが、とにかくこのDVDは安い。 続いて買ったのが「男と女」。これも今更何も言う事はありません。主人公アンヌの亡夫役のピエール・ バルーが格好良い。 あんな風に人生を心底楽しんで生き、そして死ねたら本望と言う感じ。何回か劇場で見た記憶があるが、 ひょっとするとピエール・バルーを見に行っていたのかもしれないと今になって思う。 しかし、アンヌ役のアヌーク・エーメな妖怪的(誤植に非ず)な美貌、この印象は30年たった今も変らない 。そして、「ビッグウエンズデー」。 主人公のマットと同年代の頃見たせいか、心に残っている作品。いわゆるサーフィンを題材にした青春映画と いうヤツ。 この頃は海といってもダイビングにはまっていたのでサーフィンのシーンには特に印象はなかったが、今見る と大きな波に挑むと言うことの恐怖心が少しは判るせいか少し違った印象がある。 波は怖い、新米サーファーとしては自分の身長を超える波に乗るのは「度胸」・「肝っ玉」。自分自身沖で恐 怖心に震えながら波を待つという不思議な事をする(怖ければやめればいいのに)。 サーフィン関係で買ったものがその極めつけ「ライディング・ジャイアンツ」、これだけは新作の部類に入る。 とにかく大きな波に挑むサーファーの映画。六階建てのビルくらいの波に乗るというもの。 ジェリー・ロペスと言う伝説的なサーファー、彼が大波に挑戦した時の気持ちを語った言葉 「It’s a good day to die(今日は死に日和かも知れない)」。 挑戦をやめて帰りたい、しかしやめて帰ったら一生自分を許せないだろう、だから行く。自分 自身の中に基準を持つと言うことの大切さを教えてくれる。 他人の評価ではなく、あくまで自分自身を許せるかどうか、が判断の基準。出来ない事に挑む、 というのが人の病気だということが良くわかる。 これは海でも山でも、あるいは他の世界でも共通。自分の何かを越えたい、と言う気持ちが人を 変えていくのはスポーツだろうと武術だろうと全く同じだろう。 人の基準に合わせた稽古をするのではなく、自分の基準を見つけ出す。太気でもやっぱり同じことだと思う。
とは言っても、映画はやはり映画館がいいか・・・。