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会員・会友員のテクスト 会員の体験記

12月23日納会 浅野早嗣名 2002/01/28

 「役に立たない練習やってるね」
 わたしの立禅を見て、島田先生がこの日最初に発した御言葉です。
 「こういう立禅を組んでみろよ」
 島田先生が教えてくださった立禅は、わたしが組んでいたものとは一見対極にあるようなものでした。その立禅は組んでいると1分もしないうちに足がキツくなってきます。
 島田先生は、この禅を組むことで導き出される感覚を説明してくださいました。

 天野先生から「集合!」の声が掛かり、全員が集合して島田先生の太氣拳講座が始まりました。この日指導してくださったのは何種類かの練と半禅、そして相手と向かい合い前腕をお互いにぶつけ合い、その振動から体の中の爆発を導き出す方法です。
 写真でしか見たことが無い練り・練習の度にやっている練・以前天野先生から教えていただいたのにも関わらず、何時しかやらなくなりすっかり忘れていた練等をやりました。
 講座は真剣な中にも島田先生のユーモラスなお話に、皆の笑顔が溢れる和気藹々としたものでした。(去年の10月に初めて島田先生に御指導していただく機会に恵まれました。実際にお会いするまでは数々の伝説から推測して凄く怖い人なんだろうなと思っておりました。ところが、勝手な想像はものの見事に裏切られました。島田先生は人間味に溢れた方でした。人徳というものでしょうか?他の人が言ったらピリピリした雰囲気になってしまうような言葉も、島田先生の口から出ると、そうはならないのです。)
 講座の中で島田先生が言われた「技って言うのは、即これはこうだっ、て考え方をしちゃうと千の力を持っているものが一になってしまう」と言う御言葉が印象に残りました。この日教えていただいたことは、言ってみれば宝の在りかを示した地図です。この日の参加者全員が持ち帰り、自分のスコップで掘り出さなければなりません。宝をどれだけ掘り出せるかはその人次第です。

 15分程の休憩を挟んで組手になりました。わたしは弟弟子2人・会友員の方・兄弟子・島田先生のお弟子さん2人の計6人の方と組手をさせていただきました。
天野先生が誰と誰をやらせるか決めて島田先生が組手を仕切る格好です。要所要所で島田先生から各人にアドバイスがあります。

 「相手と同じ呼吸でやらないっ!」
 「もっと遊べっ!遊んでみろっ!」
 「緩急をつけろっ!」
 「キレが無いっ!」
 「止まるなっ!」
 「腰を落とすんだよっ!」
 「痛め合うのが目的じゃないからね」
 私の受けたアドバイスです。

 未熟者だからだと言われたらそれまでですが、アドバイスされたことをやろうやろうとする気持ちが先行し、体に任せた組手が今ひとつ出来ませんでした。これは今後の大きな課題です。しかし未熟者なりにも収穫はありました。それはおそらく殴り合っている相手にすら気づかれないもので、自分だけが知り得るものです。それは体の中から溢れてくる感覚です。島田先生の御言葉をお借りすれば爆発です。幾つかの局面でそれを確実に感じました。

2002/01/28

 その後天野先生の組手が始まりました。それは一言で言えば、人はこうまでなれるものなのか、という感じです。
 残念なことにこの2日前に島田先生は交通事故に遭われてしまいむち打ち症の状態でしたので、この日は胸をお借りする事は叶いませんでした。実はこの日は島田先生に胸を借りるつもりで保険証持参で来ました。顔がボコボコになるだろうから正月は実家には帰れないだろうと考えこの前日に実家に帰りました。
 島田先生に残念ですと言ったら「胸を借りたい?10年早いよっ!」と笑われました。
 天野先生や島田先生を日本刀に例えるのならば、さしずめわたしは鉄芯の入った木刀といったところでしょう。斬ることはできません。この日組手を通じて今後の自分がやるべき課題が嫌と言うほど突きつけられました。
 しかし、それは同時に楽しみでもあります。
 何故ならば、それをやれば自分が先に進めるからです。組手は怖く苦しく痛いです。
だけど、これがあるから止められません。
 島田先生・天野先生をはじめ、この日これからのわたしを強くしてくださる為に手を合わせてくださった皆さん、どうもありがとうございました。