太氣会・会員№073の富川リュウと申します。
今日は、平成13年12月23日に行なわれた組手稽古会の模様を報告いたします。
今回の組手稽古会は、太氣会の会員と会友員が参加、島田先生の主宰する太気拳気功会のお弟子さんたちも4名が参加されました。また月刊誌「秘伝」の取材の方もいらして、天野先生、島田先生を含め盛況でした。
組手に入る前に、島田先生からの指導が45分ほど行なわれました。指導の内容は、各種の練りや歩法、打拳など、天野先生とはまた違った動きで、各自それぞれにためになったようでした。
組手稽古は、島田先生が立会いとアドバイスを担当し、天野先生がランダムに2名を指名して、はじめはAさんとBさんが行ない、続けてBさんとCさんが行ない、次はCさんとDさんが・・・という要領で、ひとり2回ずつ組手を行なっていきました。
この組手の中で、一人一人に対しての島田先生からのアドバイスがあったのですが、急なアドバイスに戸惑いながらも、それを自分の組手に生かそうとみんな必死になっていました。
当たり前の事ですが、すぐにはそれを生かした動きが出来ない者がほとんどだったのですが、中には目から鱗がとれたように急に上手くなってしまう者もいて、みんなそれぞれに成果があったようでした。
そして最後には、天野先生が元立ちをされ、「希望者はどうぞ」と言われ、太気拳気功会の3名と太氣会の7名ほどのお相手をされました。
腰の調子が思わしくなく、見学のみの参加だった私ですが、天野先生から「技術云々ではなく、魂で感じた事を書いてみてはどうか・・・」と助言を受けましたので、印象的だった組手について幾つか感想を書かせていただきます。
太氣会の古参の先輩である、Aさん、Rさんは、島田先生から「力量が十分にあるんだから、もっと相手を圧倒する、一方的におしまくれるような組手をしてみなさい」と言われていました。私から見ると、Aさんは小柄ながら素早い動きで相手を翻弄し、Rさんは体格を生かして重戦車のようにズンズン前へ出て、十分に相手を圧倒しているように見えたのですが、島田先生は「もっと一方的に相手を圧倒して、爆発の一撃で相手を倒すのが、太気拳としての理想の組手なんだよ」ということを教えたかったのだと思います。
太氣会の最古参の大先輩で、養生館で治療や武術指導もされている大関さんは、A先輩、R先輩をしのぎ、いちばん天野先生に実力が肉迫している誰もが認める実力者です。
大関さんの組手は、見ていてとても安心です。まったく危なげなく相手をコントロールします。未熟者の私の目には、その強さの秘密?がよく解らなかったのですが、先輩のKさんがいうには「どんな時にも軸がぶれないし、重心がしっかりしているからだよ」と教えてくださいました。確かにビデオを見返してみるとKさんの言うとおり、攻める時、守る時、走る時、打つとき、蹴る時、いかなる時においても、安定していて姿勢が崩れていません。「ああだから端から見ていると、安心感のある危なげの無い様子に映るんだろうな」と思いました。だけどこの時、大関さんと組手で対峙している相手はどういうふうに感じていたのでしょうか・・・?
天野先生の組手は、一言でいうと、まるで芸術品のようでした。軽やかなステップと、しなやかな身のこなしで相手の攻撃をかわし、全く力みの無いところから鋭い打拳が打ち込まれます。ほんとうにひとつの完成された「武芸」といった趣(おもむき)があります。そしていったん戦闘モードに入ると、眼つきが変わり、重心が下がり、動きが倍速になるのです。このとき対峙している相手は、たぶんとっても速い動きに感じているのではないかと思います。
というのは、ある稽古のときに天野先生と対峙していた私が、「速イェー」と思わず声をあげてしまって、この速さは何なんでしょうか?とお聞きした時に「速さとは物理的な速さだけではなくて、感覚的な速さなんだよ。そこからこうは来ないだろうと思っているところから、予備動作が全く無くスーッと来られると、相手は4倍速にも感じるんだよ」と言われたことがあったからです。
天野先生や大関さんとの組手は、私にとっては、怖くて楽しみな未体験ゾーンですが、近い将来体験できることを心待ちにしています。
天野先生との組手が終了すると、日も落ちかけてきて、平成13年度の最後の組手稽古会も無事終了となり、この後、場所を桜木町の中華料理店に移し、太氣会と太気拳気功会の合同の大忘年会が開催され、皆それぞれに、澤井先生時代の太気拳の話や今後の太気拳の行く末、格闘技談義などなどに花を咲かせて、楽しいひと時をすごしました。
※)ちなみにこの組手稽古会の模様は、2月14日発売の月刊誌「秘伝・3月号」に掲載される予定との事です。