Q:
基礎講座に参加させていただいているTです。
今回は質問がありメール致しました。
私はフルコンタクト空手を行っているのですが、
基礎講座で立禅、歩法などをご指導いただいき、
日々練習していく中で空手の組手の際、間合いのとり方や、
特に空間認識能力が上がってきた感があります。
フェイントからの攻撃などをもらう確立が減ってきたように思うのですが
ひとつ問題があります。
それは下段回し蹴りに対して反応が遅れてしまうことが多々あり
その後、足が棒立ちになり重心をおこされて、
ボディを効かされてしまうのです。
滅多にノックダウンまでは至りませんが
身体の丈夫さと根性だけでは今後は通じなくなってくると思います。
(そのために基礎講習で太気拳を習いたいと思ったのです)
立禅をイメージして腰を落とし、
(歩幅は半禅を意識してつま先を若干外に開きながら狭めにしています)
開手で正面に構え、目線を上にすると
手技、上、中段蹴りに対してはの反応は自然にできてくるのですが
フルコンタクト空手は下段蹴りの頻度が高いため
特にスピードのある相手には反応が遅れてしまいます。
(武術的に考えれば限定されたルールの中での下段蹴りなど実践的では
ないのかも知れないのでは?とこの頃は感じることもあるのですが)
私も下段回し蹴りは得意技で組手での使用頻度が非常に高かったこともあり困惑しています。
今までの私の組手はガチンコスタイルで我慢比べ的なところがあり
下段蹴りは腿の筋肉を閉めて前に出る方法や膝を当てていくのが主体でしたが構えを変えたためそれにあった方法が見つけられないでいます。
太気拳一筋でやっていらっしゃる皆さんには空手に役立てたいなど失礼かもしれなく申し訳ないのですが、天野先生は空手出身だと聞きました。
何か良い対処方法などありましたらアドバイスをお願いしたいのですが
A:
返信が遅くなりました。
今月の講習会に来るとの事だったので、メールでの返信を怠けました。
さて、具体的な下段蹴りに対する対応に関して。
こうすれば良い、と言うものは無いです。
と言っては身も蓋もありませんが、大事な事は間合いの取り方。
間合いを固定したものと考えないで、常に入ったり出たりしていること。
別の言い方をすれば動けるようになる事です。
打ったり蹴ったりも常に動きながらすること。
動けるようになる、って言うのは言葉で言えば余りにも当たり前に聞こえると思います。
誰も自分が動けないなんて思ってない。
でも、僕の眼から見るとみんな動けてないと思います。
動いていないから蹴られる、打たれる。
自分が相手を蹴ったときのことを思い出してみてください。
その瞬間は相手が止まっているはずです、
止まった瞬間に打てる、蹴れるということは逆に言えば止まっていなければ打たれない、蹴られないという事です。
太気拳の稽古の大部分は動く為の稽古です。
動く稽古をするということは、動けないのが普通の人、と言う事。
脚を止めて手を動かす、手を止めて脚を動かす。
そうではなく、手も脚も動きを止めることなく自然に力強く動ければいいんです。
とっても当たり前ですが、これが大事なところです。
組み手に限らず、相手がいるというストレスはとっても大きいものです。
その中で自然に動けるようになれば、不用意な蹴りは貰わないと思います。
T君は空手を20年以上やっていて、きっと指導的な立場だと思います。
そんな中で、以下のような経験はありませんか。
入りたてのちょっとやんちゃな若者が結構強い。
蹴りも突きも半端なんだけど、組み手だけはすばしっこくて手こずる。
それが何年かして、空手らしくなってくると相手しやすくなる、御しやすくなる。
変な言い方ですが、強くなると弱くなる。
つまり型にはめると、動けなくなる。
本来自分が持っていたはずの自由自在な動きがなくなってしまう、という事です。
考えてみると、こんなばかげた事は無いんですが、実際にはよくある。
稽古してサマになってくると弱くなる。
こうならない為には、手と脚を協調して動かせるようにする稽古をするしかない。
太気拳なら練りの稽古はその中心になります。
手が動いたら脚が動き、脚が動いたら手が動く。
こうなれば、先ほど書いた間合いの出入りも楽になるということです。
今回の基礎講座でやった動きが練りの基本です。
それを十分にやっていけば、組み手も変わってくると思います。
また稽古で会うのを楽しみにしています。
太気会 天野
RE:
天野先生
今回は組手で胸を貸していただきありがとうございました。
先生の質の違う強さを目の当たりにして、驚きとともに今までの自分の尺度では測れないものがありました私の求める強さを感じられて大変貴重な体験ができました。
なぜ、あの年齢で(失礼ですが)連続組手が可能なのか?
(見た目には楽にやっているようにも見えました)
なぜ、投げようとしても動かなかったのか?
先生の打撃の当て感の良さはどうしてなのか?
止まらない動き、無理のない動作等
考えさせることがたくさんありました。
後、自分のQ&Aにヒントのお言葉をいただきありがとうございました。
ここ数ヶ月で今までの組手をかなり変化させてきましたが、フルコンタクト空手のポピュラーな技である下段回しの攻防では元のままになっていたようです。居着いている状態だったのかと思います。
今後はそれらを打破できるようにどの攻防でも動きをつけて
先生の組手での動きを参考にしていきたいと思います。
またお邪魔しますのでご指導を宜しくお願いいたします。