Q:
天野先生の今度のDVDはとても分かりやすく個人で稽古する身の励みになります。
私の勉強不足かも知れませんが、以前より疑問に思っていた事が有りました。
立禅をするときの踵についてですが、今回テニスボールを・・・という解説が有ってようやく何とか(頭でですが)イメージ出来るように成りました。
昔、日貿出版を読んだり色んな雑誌の記事を読んだ時は踵を上げてと書いて有りましたが、天野先生のビデオでは踵を上げろとは言われてなかったので、その辺のところがいま一つ疑問でした。
今回のDVDで自分が今まで踵をまるで靴底のごとく踏んでいるだけだったと気付かされました。
そして今度は単に踵を上げているよりは難しいです。未だ足へのストレスが感覚の大部分を占めてしまっていてなかなか先へ行きません。
そこで一つ質問させて頂きたく思います。
足指で地面を掴む感覚についてですが、そうしようとすると気持ち小指側が浮く感じに成ります
小指側もしっかり掴もうとするとどうしても、膝が開いて来て蟹股に成る感じがします。
そこでいつもは足の親指と人差し指のラインがメインに成って立つ感じで小指側は紙一重触る程度の感じです。また此の方が地面から立ち上がっていく感じがするのですが、これで良いでしょうか?
或いはこれはまだ自分の足が固いからで、五本の指全部着いた上で膝を閉じて行くようにした方が良いのでしょうか?
質問者 A
A:
メール拝見しました。
立禅のときの足指についての質問、これはとっても大事なところです。
結論から言うと、Aさんのやっているような感じでいいと思います。
体重は親指の内側とその付け根に一番かかります。
小指の方はわずかに指で掴む感覚を失うことはありませんが、接地するかしないか、と言うくらいです。
そして土踏まずと足首が適度に緊張し、膝から下が弾力を持っているような感じです。
もちろん蟹股はいただけません。
普通の立ち方だと、このような重心の置き方だとどうしてもお尻が後ろにいってしまいがちです。
つまり腰が引きがちになり、その分肩や頭が前に出る、と言った具合です。
そうならないように気をつけて立ってください。
よく言われることですが「天井からぶら下がっているような」感じをつかめるように工夫してください。
場合によっては、骨盤を前に押し出すくらいの方がまっすぐに立てることもあります。
立禅をしている時は、ちょっとした重心の変化でも大冒険をしているような感覚です。
自分の身体ですから、いくら大冒険をしてみてください。
膝曲げる深さ、骨盤の傾斜角度、背骨の緩め方、或いは肩の調整。
いろいろな要素がありますから、立禅は組んでいて本当に飽きない稽古です。
それから、時には呼吸についても注意を払ってみてください。
いわゆる呼吸法という奴です。
ちょっと蛇足ですが、これについて書いておきます。
腹式呼吸をしろ、とかそういう事ではありません。
ジッと立っている時に、何処が動いて呼吸しているのかを探ってみてください。
姿勢が定まると、呼吸も定まってくるものです。
そうするとお腹が緩やかに動いて呼吸するのがわかります。
呼吸は姿勢を知る時のひとつの大きな目安になります。
いろいろ呼吸法と言うのがあります。
腹式呼吸が良いとか、地面を吸い上げるようにとか言うやつです。
それはそれで良いですが、だいたいは皆意識的に呼吸する方法です。
そうではなく、呼吸は姿勢によって変わってくるものです。
つまり呼吸は姿勢の結果です。
良い姿勢になれば自然に緩やかな腹式呼吸になってきます。
肩や胸がくつろいで、お腹が緩やかに呼吸する。
そうすると、心臓が力強く鼓動しているのが感じられます。
そういうところにも気を配れると、立禅の楽しみが増えると思います。
なかなか立禅というのは一筋縄ではいきませんが、だから面白いのかもしれません。
正解に行き着けるかどうか判りませんが、少なくともより良い立禅が組めるように、一緒に禅を組んでいきましょう。
太気会 天野