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メールQ&A 天野敏のテクスト

立禅や這の腰の高さ

Q:
先日は丁寧にご指導いただきありがとうございました。
あたりまえのことですがまったくの独学と指導していただいた「違い」を明確に感じ取れたと思います。
先生のDVDを購入いたしました。私のように実際の指導が多く受けられない者にとっては絶対必要で、わかりやすい内容に驚きました。(それにしても先生の動きはとても人間技とは思えません)
代々木公園で先生に指導いただいたゆっくりとした体重移動(這?)の動きは理屈ではわかりましたが、
どうにもピンとこなかったのですがDVDを参考にその動きをやっていたところ体が理解してきました。体をリラックスさせて中心線を崩さないように移動すると、体が勝手にあのように(タコのような)なるということが実感できました。
私が武道を習う根拠は普通の爺さんになりたくないという信念からで、死ぬ間際まで空を飛んでいたいという夢を実現するための基礎です。
一瞬の自然の変化に対応するための感や、足腰の強化、体の柔軟性は空を安全に飛ぶためには絶対不可欠です。DVDや本(残念ながら先生の本は見つけられず、拳聖澤井健一先生という本を購入致しました)で知る限り太気拳はそのすべてをカバーし、それ以上のものを引き出すものだと感じました。
ゆっくりですが、ずっと続けて行きたいと思っておりますのでご指導のほどよろしくお願いいたします。

*本を読んだ限りでは立禅や這は腰の低さが強調されて低いほどよいようなイメージを持ちますが、実際低ければ動きが制限されるように思います。練習ではつらくてもなるべく低くして、慣れることによって動けるようになるのが良いのか、またはある程度楽な程度(動きやすい)で練習するのが良いのか、と思いながら楽な(動ける)位置を探したり、ぐっと低くしてみたりしておりますが、実際はどのような感じが良いのでしょうか?

会友員 I

A:
I 君へ
>普通の爺さんになりたくないという信念からで、死ぬ間際まで空を飛んでいたいという夢を実現するため

はは、僕も全く同じです。
僕の同年代でも、もう既に半分死んでるようなのもいます。
死ぬまで生きていると言う実感を持っていたい。
最後のときに、よく生きたな~って言いたいと思っています。
よく生きてよく死にたいものです。

さて、腰の高さと言う質問。
これは低ければ良いと言うものでもありません。
だからと言って高くてもよいというものでも無い。
大切なのは脚ではなく腰で立つと言う感覚を見つけること。
腰を落としても膝を緩められなければいけません。
立禅は文字通り立って組む禅ですが、感覚的には座っている感じです。
腰を落とすと膝が緊張しますが、それを出来るだけ緩められるようにします。
そうするためにはいろいろバランスや身体の調整が必要です。
それをじっくり探すのが立禅です。
スキーのジャンプの選手の感じ。
そうそう、九十九里の生まれで子供の頃は当たり前にサーフィンをやっていたって言うことですから例にとります。
大波のとき、テイクオフしてボトムターンと言う時の、思いっきり腰と全身でボードを蹴りこむ感じに似ています。
腰の弾力と言うか、全身の弾力と言うか、そんな感じをつかむことが大事だと思います。
脚ではなく、全身で立ち上がり、縮みこむと言う感じです。
それを感じながら姿勢を保ちます。
両膝はお互いに反発し引き合うような感じです。
下半身はきちっとしていますが、上半身、特に腹や背は緩むような感じを見つけていくのが大事だと思います。
下半身は常にバネのような弾力を持ちながら、上半身はリラックスして変化への対応を担う準備を整える、という事でしょうか。
上半身が動けば、すぐに下半身が弾力で応じられるようにしていきます。
バネのような感覚、これを見つけるように立禅を組むと良いと思います。

文章ではなかなか上手く説明できず、もどかしい限りですが、次の機会もあります。
一杯疑問を溜め込んできてください。
稽古すればするほど疑問がたまります。
それを解決するのが稽古ですが、一緒に稽古することで簡単に解決できることもありますから。
次回の稽古を楽しみにしています。

太気会 天野