Q:
天野先生の著作「太気拳の扉」の中で能楽師の安田登氏と対談をされていましたが、その中で天野先生の動きは大腰筋が使われている。とありましたが太気拳の練習方法の中で大腰筋を鍛える練習はどれになるのでしょうか?? 個人的には立禅、這いの練習で大腰筋が使われる様になるのではないかと思っているのですが。
A:
メール拝見しました。 最近大腰筋とか深層筋とかそう言った形で武術を理解しようと言う人が多いようです。しかし、そのような方法で理解しようとするとますます武術から遠ざかってしまうと思います。 何故と言って武術は理解ではないからです。もし理解と言う言葉が出てくるとすれば、それはなにものかを自分の中に作り上げた時に初めて出てくるものだと思います。ただし、その時も決して部分ではなく自分という存在の把握と言う感じだと思います。部分の筋肉をどう使う、等ではなく身体全体をどのようにして一つにしていくか、という事が先ず一番の基本にあるからです。 質問にある大腰筋に関してもそうです。大腰筋はどの稽古でも必要です。いや、稽古の時に使わない筋肉などはないでしょう。この稽古でここを鍛えてなどと言うものではありません。全てを満遍なく使うという事が身体全体を使うという事ですから。日常生活で人は十分に身体を調和させて使う事が出来ないのが普通です。だから質問のように部分をどう使うか、と言う疑問が出てくるのだと思います。しかし、太気拳の稽古はそう言った普通から脱却するためのものです。何故と言って、普通の感性からは普通の強さしか出てこないからです。多分ある程度太気をやった人間は部分をどうするかと言った発想はなくなっていると思います。部分にこだわるのではなく、身体全体を大きな一つのものとして把握することを要求されているのが太気拳だからです。
太気会 天野