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メールQ&A 天野敏のテクスト

どうしたら寸剄や発剄を打てるか

Q:
久しぶりにメールさせていただきます。
立禅、這い、基本的な練りをビデオを 見ながら稽古にはげみ約二年近くなります。立禅も最近は平均で30分くらい、這いも15分ぐらい出来るようになりました。フルコンタクト系の空手をやってますが、最近組手で自分ではまったく意識してないのですが、 差手みたいな捌き方が急に出て来たり、低い姿勢 からでも以前よりスムースに動けるようにはなりました。また自分の制空圏内に入ってきた打拳はなんとなくかわせるようには成長しました。
ただ私自身身体がそんなに大きくなく、パワーの部分ではいつも圧倒されてしまいます。天野先生のような発力や寸剄が出来ればと悔しい思いをいつもします。相手に密着して近距離からの打撃は格闘技においてはとても重要だと思います。
どのようにしたら寸剄や発剄を打てるようになりますか??
ぶしつけな質問で申し訳御座いません。

A:
久しぶりのメール、拝見しました。
一人での禅や這いの稽古、大変だと思います。がんばってください。
しかし、稽古をやって少しでもその成果を感じられるのは本当にうれしいことです。
何を覚えたとか言うことではなく、少しずつ自分の身体の可能性が広がっていく喜びです。

さて、メールにある発力に関してですが、これはなんともメールでは難しい。
弟子なども手を取ってでもなかなかわからないようです。
しかし、かといって発力が何か特別な技術だというのではありません。
また、なにか特別に凄い事だとも思いません、所詮は人にできることです。
要は身体の調和の問題です。
多分、ほとんどの人は、打撃というと腕で打つと思っています。
が、そうではなく身体全体のしなりとか緊張のテンションの変化とか、そう言った事のほうが重要です。
発力といっても、要は力、そして力とは質量とその移動距離と時間の関係の中にあるものです。
大事なことは、自分の身体を質量としてまとめる瞬間を作り上げることです。
それが発力の瞬間だと思っています。

残念ですが、言葉ではこんな抽象的な答えしかできません。
もどかしくはありますが、ここら辺が言葉の限界。
いくら言葉を尽くして原理を解明しても、そんな事が何の役に立たないのが武術。
しかし、やっていくことでしか、答えは出ませんが、やっていけばいつか答えてくれるのが武術だと思っています。
一人での練習は苦労もあると思います。
あきらめなければ、いつか陽が昇ると信じてがんばってください。

太気会 天野