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メールQ&A 天野敏のテクスト

立禅で肩が痛くなる

Q:
どうもはじめまして。貴会のHPをいつも楽しく拝見しております。

立禅について質問がございます。
私は現在35才。太氣拳を含めて武道の経験はありません。
最近、天野先生のビデオ「太気拳挑戦講座VOL.1」を購入し、立禅をはじめたところであります。

天野先生の説明はわかりやすく、足の感覚については立禅を組んでみて理解できるところがありました。

ただ、腕についてなのですが、1分、2分くらいで肩が痛くなって耐えられなくなります。
私、元来より体が緊張しやすいせいか、柔軟性に乏しく肩関節も回すとボキボキ音が鳴るくらい硬いのです。

立禅を組んでいると、よく腕がしびれてくるという話は聞いたことがあります。
貴会のHPでも、天野先生が「練習は時間に求めるのではなく中身」「自分の身体の声を聞く練習」云々とおっしゃっていることからも辛抱して立禅を組むのはおかしいのではないかという思いと、肩が痛くなるのも通過点であるという思いが交錯しております。
どう思われますでしょうか。深く考え過ぎでしょうか。

ビデオを見たり「秘伝」を読んでの実践で、いわゆる自己流なのですが、これから太気拳を深めて行けたらと思います。
こんな質問でも答えていただけましたら幸いです。

貴会の今後益々の御発展を御祈り申し上げます。

A:
深く考えすぎでしょうか、とのこと。
深く考えてください。じっくりと何故立つのかを考えてください。答えはその悩みからしか生まれません。

拳は教わるものではなく、見つけるものだと思います。

さて、肩の痛みに関して。
痛みは我慢してください。ただし、ただ我慢するのではなく、どうすれば痛くなくなるのか工夫してください。
腕を肩で支えると肩が痛みます。腕は頭で支えるようにするのです。
頭を上に突き上げるようににし、その反作用で肩を下に押し付けるようにします。
ちょうど腋の下に風船をはさんでいるような感じです。
この感じがつかめたとき、肩関節がしっくりと納まり、力を得ることができます。
『肩を下に押し付ける』これも上下の力です。

この場合の肩の感じは、跳び箱を思い浮かべるといいかもしれません。
跳び箱を飛び越えるとき、腕ではなく肩を下に押し付けるようにし、全身は上に伸び上がります。
この感じが似ているかもしれません。全身の伸び上がる力が肩を下に押し付ける。
このとき肩は全身の力と呼応し、腕を支えます。工夫してみてください。

身体の声を聞く。
聞こえてくるまで時間がかかります。じっと待つしかありません。
私は最近立禅の意味をこう考えます。
何故じっと立つのか。これは人がじっと立てないことに気がつくためだ、と。
人は生きるものです。生きて、動き、活動するのが人です。ではどのように動くか。
それが、動かずにいると観えてくるのだと思います。

一人での練習は大変だと思います。
挫折しそうにもなると思います。
でも、最初に書いたとおり、拳は見つけるものです。
見つけてもらうものではありません。

頑張ってください。
いつか機会があったら一緒に練習しましょう。

太氣会 天野敏