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メールQ&A 天野敏のテクスト

腰の力で腰自身を動かす

Q:
天野先生、お元気でしょうか?

私は11月10日に『中年からはじめる本物の中国武術』の感想をお送りした、Iと申します。

あれから立禅は続けております。

特に『腰の力で腰自身を動かす』に取り組みました。

まずはDVDを拝見して『爪先を引き上げる力で膝を引き上げる』を行いました。

始めに思ったのは、爪先を引き上げる力は、私の場合、踵を床に踏みつける、のめり込ます力になる。ということでした。

これは天野先生の仰っていることと違うので、少し戸惑いました。
今度は、膝を引き上げる意識を持ちながら、爪先を引き上げてみると、じわりじわりと爪先が引き上げられていき、またじわりじわりと太もも、股関節に力が入っていき、遂には膝が上がりました。

脚というものは基本的には重力により地面に突き刺さるような力が加わるので、脚を上げる時には多少なりとも『意識』というものが必要なのかな?と思いました。

そして、いよいよ立禅を組みながら『爪先を引き上げる力で膝を引き上げ』『立ちながら座ろうとする』『腰の力で腰自身を動かす』に挑戦です。

じわりじわりと爪先を上げていきますと、思いの外、すんなりとその爪先の力を利用して『立ちながら座ろうとする』ことができました! その際、膝も動きませんでした。

その調子!と続けて行ったのですが、続けると段々先ほどの新鮮な感覚は失われていきました。

理由はズバリ、疲れたからだと思います。

疲れたので普通の立禅に戻った後で、再度行うと、再びうまい具合に良い感触が得られました。

行った感想としては、大げさかもしれませんが、自分が腰を落とすというより、自分が爪先で地面を引っ張り上げる様な感じがしました。

立禅を終了して、家に帰るとき、立ち止まると足首がガタガタと震えてしまいました。

その位、疲れました。その分とても充実した気分で、はじめて立禅が楽しいと思いました(それまでは楽しくなかった?)。

その後も『腰の力で腰自身を動かす』立禅を続けました。

その運動量は10分ながら、想像以上で、段々股関節に疲労がたまって痛くなってきましたので、普通の立禅に戻しました。

すると、その立禅は以前よりずっと楽に出来る様になっていました。

体力がついた様です。
来年からまた『腰の力で腰自身を動かす』立禅を行ってみたいと思います。

天野先生、これからも宜しくお願い申し上げます。

良いお年を。

天野先生が御迷惑でなければ、年賀メールをお送りしたいと思っております。

A:
I様

立禅を続けているとのこと、嬉しく思います。

「さて、爪先を引き上げる力が踵をめり込ませる力になる」

と書いてありましたが、その通りです。
踵を身体全体の力で踏み込む力も大事な事です。
但しあまり力を入れすぎないように。

メールを読んだ感想は、よく稽古してるな、です。

よくいろいろ発見していると思います。
良い方向に向かった稽古だと思います。

ただ、これからは余分な力を抜く事にも気をつけていきましょう。
ただ力を抜くというのではなく、大事なところは生かしつつ、
余分なところの力を抜く。

そんなところを見つけるのも大事な稽古です。

また成果の報告を楽しみにしています。

太気会 天野