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フレームの中の交流組手 会員NAZ 2003/01/01

「NAZさん、組手出れないんだよね? 撮影お願いします!」。
組手の恐怖から開放され放鬆しきった私に新たな任務を与えた先輩のこの一言で、私は今回、ビデオカメラマンの視点から組手を見ることが出来ました。

太氣会には大きな行事が年3回あります、春と冬の交流会と夏合宿です。
私自身、夏合宿は参加させていただきましたが、入会が春の交流会後だったため交流会はこの冬が初めてでした。
怖くもあり、楽しみでもあった交流組手には私も参加したかったのですが、1ヶ月前に怪我をしたアバラが完治できず辞退させていただきました。
そこで冒頭の一言につながるわけですが、このレポート自体は先生から「レンズを通して気付く事もある」とアドバイスを頂き、マウスをとりました。

ビデオ撮影を務めるのは今回が初めてで、不慣れなためフレーム内に丁度よい大きさで拳士の動きを納めるのに大変苦労しました。 ですから正直、組手の内容は追っていけませんでした。 そんな中でも漠然と感じられたこと、そして、その後の練習で天野先生が指摘されていたことなどから書かせていただきます。
先に書いた通り、太氣の組手をフレーム内に納めるのは初カメラマンを務める私にとって大変でした。 そんな苦労の中で感じられたことが一つあります。 それは組み合わせのパターンにより、開始した場所からの移動距離に違いがあることです。 
太氣の組手はおよそ30余名の拳士が円陣を組んだ中で行われましたが、その広さはリングよりおよそ1周りほど大きかったでしょうか。 その中で経験の浅い拳士同士の組手では、移動が殆ど無くスピードもそれ程でない為か動きに予想がつきやすい為か、フレーム内に納めるのにあまり苦労はしませんでした。 次に経験に格差がある場合は一方的に経験の浅い拳士が追いやられ、リングのようにロープで囲われてる訳ではないので倒れなければ何処までも、という感じでどんどん追いかけないとフレームアウトしてしまいます。  最後に経験の長い拳士同士では複雑で素早い変化の連続で予想もつきにくく追いかけるのが大変、たびたびフレームアウトしてしまいました。

太氣の組手はよく「自分の中心を守り、相手の中心を奪う」といわれます。 奪うために最初に思いつくのが中心に踏み込むことだと思いますが、素手素面の組手で前に踏み込むには大変勇気が要ることです。 私を筆頭に経験が浅いと足や身体が前に行かず、 手だけで攻防してしまいがちです。 お互いがそこに居着いてる訳ですからレンズで追いかけるのも容易です。 天野先生から組手前にナンバ系の[足が出ると手が行っちゃう]動きを練習やセミナーで指導していただきましたが、組手後にはツイスト系の[手が出ると足が行っちゃう]動きも指導していただきました。 この動き、前進の場合は相手を打とうと手を出すと[手が出ると足が行っちゃう]動きなのですが、一方相手が踏み込んできてこちらが下がるときは[足が下がると手が出る]動きになり大変便利な動きです
組手で前に出て中心を奪うための動き以外に、姿勢についても改めて指導していただきました 座った姿勢から立ち上がる力というのは大変大きな力を秘めており、これを組手の前に出る力に活用するものです。 立っているけど座っている、だから強力な力で立ち上がれる、というものです。 この点に関して太氣会の上級者だけでなく、特に気功会の方は上級者から初心者までよく出来ており、天野先生は島田先生の指導に感心されていました。
一方、自分の中心を守ることに関しては[自分の作業机を確保する]事を教わり、これで何度目か分らないほどですが改めて禅の重要性・優秀性を認識しました。
今回の組手の経験と指導で今後ますます太氣拳士はフレームに納まりにくくなることでしょう。 次のカメラマンはどなたが務められるかわかりませんが大変苦労されると思います。 私は遠慮させていただきたいと思っています。 フレームに納める苦労もありますが、怪我で組手に参加できなく、一人寂しい思いをするのは一度っきりにしたいと思います。